【洋書レビュー】There's a Boy in the Girls' Bathroom【英語多読1冊目】

※本のオチまでは書いていませんが、ところどころ途中の展開のネタバレを含むため、ご注意ください。

 

先日、本格的な多読を始める前の「プレ多読」を終えました。

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これから多読を始めるにあたって、多読の登竜門とされている"Holes"や"Wonder"などいくつか有名どころに目をつけてはいたのですが、まずはHolesと同じ作者が書いている、少し易しい本を読むことにしました。これから多読を始めようと思っている方に向けて、以下のレビューを参考にしていただければと思います。

レベル感

Y.L3.0〜4.0と他の方のブログで見ましたが、体感としてもそれとマッチしていました。

ラダーシリーズのLevel3、他GRのLevel3-4と同じようなレベル感です。ところどころ児童書特有の見慣れない単語は使われていますが、Kindleの辞書機能を使ったのは全体で4〜5回でした。(ただし、私は普段からボキャビルもしていて今は8000語レベルの単語帳に取り組んでいます。)

ネタバレありの感想

この本の前半を読んでいる時は、主人公にイライラしっぱなしでした。自分の保身のためならいくらでも平気で嘘をつくし、気に入らない女の子を待ち伏せして転ばせようとか、ひとつ間違えるといたずらでは済まされないことを考えていたり、とにかく先生も親も手に負えない子供です。

中盤からは主人公がいじめられている描写も出てくるのですが、キュッと心の奥をつままれるような場面がありました。多かれ少なかれ、子供の頃誰にでもこういった面はあったのかもしれませんが、読んでいると子供は残酷だと思わせられます。

 

この本が伝えたかったメッセージは、見た目でも性格でもなく「行動」が大事なのだ、ということだと思います。行動することで人は変われる。カウンセラーとの出会いを通して小さな一歩を踏み出すことで、主人公の心の持ちよう、彼を取り巻く周りのクラスメイトの行動までもが変わっていきます。

主人公の内面の描写であったり、子供たちの悪い意味での残酷さと良い意味でのピュアさ・行動をすぐに起こせるところ、そういった描き方がすごくリアルで、小説っぽくないなと感じました。作者都合でシナリオが引かれているというよりも、主人公の内面に入り込んで一緒に追体験させられるような感じです。読者の共感を引き出すのが上手い。

 

主人公が変わるきっかけとなるカーラは、カウンセラーとして学校に赴任してきます。アメリカの学校にはカウンセラーが常駐していると聞いたことがあり、その時はやはりアメリカは教育面でも日本より進んでいるなーと思っていました。しかし物語後半、カウンセラーへの理解のない保護者たちにカーラが詰問されるシーンがあります。曰く、「カウンセラーを雇うお金なんか無駄だ!他のことに使ってほしい!」「教育方針と違うことを子供に言われては困る!」といった具合に。こういう保護者は実際の現場でもいそうですし、恐らく作者もそれを把握した上で書かれているのだろうと思います。よりリアリティがありますよね。

結末もご都合ありきの児童向け小説っぽくないんです。ぜひ読んで確かめてみてほしいと思います。

まとめ

おすすめ度 ★★★★★(本格的な多読の1冊目に最適!)

 

多読1冊目から、とてもページターナーな良本に出会えました!Graded Readersと比較すればもちろん長いですが、長さを忘れさせてくれるくらい中盤から止まらなくなります。

次はHolesにしようか、別の作者のWonderにしようか…ちょっと悩んでいますが、これからも楽しみながら多読を続けていきます。